【今日もらえる10万円と来年の今日もらえる10万円どっちがいい?】割引現在価値について解説

割引現在価値 仕事

テレビCMでこんな質問を聞いたことはありませんか?

けんにぃ
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「今日10万円もらうのと、来年の今日10万円もらうの、どっちがいいと思う?」

その質問をしてくるのは、こちらのCMです。

GFS公式YouTubeチャンネルより引用

多くの人が直感的に「今日10万円もらえるほうがいいに決まってるじゃん!」と思うはずです。なんでこんなあたり前のことを聞いてくるんだろうと思った人もいると思います。

しかし、以外にも普段の生活の中でこの2つの10万円の価値の違いを意識できている人はそれほど多くはありません。

この記事では、この質問に隠された「割引現在価値」という重要な概念について、身近な例を使ってわかりやすく解説します。

こんな方にオススメ!
  • CMの質問の意味を知りたい方
  • 今日もらえる10万円の方がいいと感じる理由が知りたい方
  • 「お金の時間価値」について知りたい方
けんにぃ
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この記事を書いた人

投資を始めて3年で経済的自由(FIRE)を達成。

エンジニアとしてマネジメント経験を積みながら稼ぐ力を身に着けて、余剰資金で投資を行う兼業投資家。投資の知識だけでなく、稼げる働き方についても発信中。

モットーは『1万円稼ぐより、1万円節約するほうが楽』。

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なぜ「今すぐもらえるお金」の方がよいと感じるのか?

今すぐもらえるお金の方に価値を感じる理由は主に3つあります。

1. 投資による複利の効果

今日もらった10万円を1年間、年利3%で運用すれば、来年には10万3,000円になります。そうすると、来年10万円をもらうよりも、今日10万円をもらって資産運用するほうが実質的に価値が高くなります。

2. インフレの影響

物価が上昇すると、同じ金額でも買えるものが少なくなります。年2%のインフレなら、来年の10万円は今の約9万8,000円分の価値しかありません。

3. 不確実性のリスク

確実にもらえる今日の10万円と、「もらえるかもしれない」来年の10万円では、リスクが異なります。

「お金の時間価値」をあらわす割引現在価値とは?

割引現在価値とは、将来受け取る価値を今すぐ受け取る価値に直すと、いくらと同等の価値になるかというものです。

基本的な考え方

仮に1年後に100万円をもらえる場合、この100万円を割引現在価値に換算するには次のように考えます。

割引現在価値考え方

投資で1年後に100万円を達成するには、運用資金をいくら用意すればいいか?

利回りを3%とすると、97万円あればだいたい1年後には100万円を達成できます。つまり1年後の100万円は、今の97万円と同じ価値ということになります。

ポイント

1年後にもらえる100万円は、割引現在価値に換算すると97万円になる。

実例で計算:30年後の退職金2,000万円は今いくらの価値?

ケース1:利回り3%で計算

30年後に2,000万円の退職金がもらえるとします。年3%の利回りで考えると、30年後の2,000万円は、割引現在価値で824万円と同じ価値しかありません。

ケース2:インフレを考慮した計算

もし、インフレ率が2%だとすると、30年後の2,000万円の実質的な価値は約1,105万円しかありません。

この1,105万円に対する割引現在価値を計算すると、30年後の退職金2,000万円は、今の455万円程度の価値しかないことがわかります。

ポイント

30年後の2,000万円は、割引現在価値に換算すると455万円になる。

455万円というと、サラリーマンの平均年収くらいしかありませんね。

この計算から学べること

早期退職の判断基準

もしあなたが転職を考えていて、転職先で30年後に2,000万円の退職金がもらえないとしても、実質的な損失は455万円程度です。

年収が50万円アップする転職なら、9年で元が取れる計算になります。

ポイント

「退職金がもったいない」という理由だけで転職をあきらめる必要はないかもしれません。

学資保険の「お祝い金」に隠されたカラクリ

学資保険でよく宣伝される「18年後に100万円のお祝い金」を割引現在価値で計算してみましょう。

利回り3%で考えると、18年後の100万円の現在価値は約59万円です。一方、多くの学資保険では月3,000円程度の保険料を18年間支払います。

そうすると総支払額は3,000円 × 12ヶ月 × 18年 = 64.8万円になります。

つまり、64.8万円払って59万円相当のものを受け取る計算になります。これは実質的に約6万円の損失です。

ポイント

「お祝い金がもらえてお得」というイメージとは正反対の結果になります。

年金の繰り下げ受給は本当にお得?

年金は65歳から70歳まで受給を遅らせると、月額が約40%増額されます。一見お得に見えますが、割引現在価値を考慮するとどうでしょう?

計算例

  • 65歳受給:月20万円(年240万円)
  • 70歳受給:月28万円(年336万円)

70歳受給の場合、5年間で1,200万円(240万円×5年)を受け取れません。この1,200万円の機会損失を、年96万円(336万円-240万円)の増額で取り戻すには

1,200万円 ÷ 96万円 = 12.5年

つまり、82.5歳まで生きないと元が取れません。死亡リスクや割引現在価値を考慮すると、実はそれほどお得ではないことがわかります。

まとめ:割引現在価値を意識した賢いお金の判断

割引現在価値について説明しました。

今日もらえる10万円のほうがいいと思っているにもかかわらず、退職金や年金の価値は意外と正しく捉えられていなかったのではないでしょうか?

割引現在価値を意識することで、より賢い財務判断ができるようになります。将来のお金の計画を立てる際は、ぜひこの概念を思い出してみてください。

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