米国株に投資していると定期的に配当金が入ってきますが、楽天証券では配当金を円とドルのどちらか好きな方で受け取ることができます。

円で受け取ると為替手数料が取られるって聞いたけど、ドルのままにしておけばお得なのかな?
為替手数料を節約できるなら、ドルのまま受け取ってそのまま再投資したほうがお得──そう考えている方も多いのではないでしょうか。
ところが、ドルで受け取った配当金をそのまま米国株の再投資に使うと、為替差益による雑所得が発生し、確定申告が必要になる場合があります。 証券会社はこの雑所得を計算してくれないため、自分で申告しなければなりません。
僕は実際に年間40万円ほどの配当金をドルで受け取り、楽天証券のバンガードS&P500 ETFという商品に再投資していたところ、為替差益による雑所得が発生して確定申告が必要になりました。

雑所得の計算は本当に手間でした…この記事では、ドル受け取りで確定申告が必要になる理由と、円で受け取るべき人の条件を解説していきます。
- 米国株の配当金を円とドル、どちらで受け取るか悩んでいる方
- 配当金をドルで受け取り、そのまま米国株に再投資している方
- 医療費控除・iDeCo・ふるさと納税・外国税額控除などで確定申告をする予定がある方
結論から言うと、為替手数料を惜しんでドルで受け取るより、円で受け取って確定申告の手間を省くほうが圧倒的にお得です。
米国株の配当金、円受け取りとドル受け取りの違い

配当金の仕組みと2つの受け取り方
米国株の配当金は、まず米国内で現地源泉徴収税10%が差し引かれ、その後日本国内でも源泉徴収税20.315%が徴収されます。この二重課税の仕組みは、円・ドルどちらの受け取りでも共通です。
この二重課税の詳細を知りたい方は次の記事をご覧ください。
楽天証券では2023年5月より、受け取り方の設定で「円貨で受け取り」と「ドルで受け取り」のどちらかを自由に選択できるようになりました(参考:米国株配当金を円貨でも受取ることが可能になりました!)。
それぞれの特徴は次のとおりです。
| 円で受け取り | ドルで受け取り | |
|---|---|---|
| 米国で引かれる税金(10%) | ✅️ | ✅️ |
| 日本で引かれる税金(20.315%) | ✅️ | ✅️ |
| 為替手数料(25銭/ドル)※ | ✅️ | なし |
| 確定申告 | 不要 | 必要になる場合がある |
※ 楽天証券では自身で行う為替取引(リアルタイム為替取引)の手数料は無料化されていますが、配当金の自動円貨受取には従来どおり25銭の為替手数料がかかります。

ドルで受け取りの確定申告は「必要になる場合がある」って、どういうこと?

ドルの動かし方によって、確定申告が必要かどうかが変わってくるんだよ。次で詳しく説明するね。
ドル受け取りが「お得」に見える理由
手数料ゼロでそのまま再投資できる
円受け取りでは1ドルあたり25銭の為替手数料がかかります。年間40万円の配当金であれば、為替手数料はおよそ700〜800円程度です。
ドル受け取りならこの手数料はかかりません。受け取ったドルをそのまま米国株の買付代金として使えるため、「手数料ゼロで効率よく再投資できる」と感じるのは自然なことです。
楽天証券も「買付代金に充当したい場合におすすめ」と案内している
楽天証券の公式Q&Aには、次のように記載されています。
米国株式の配当金受取り方法は、ご自身の状況に応じて「円貨で受取り」と「外貨で受取り」からご選択いただけます。
- 円貨で受取り・・・当社で円に両替し、預り金に入金します。
→米ドルで受け取った配当金をお客様ご自身で円に両替すると、為替レートの変動により生じた利益は雑所得の対象となり、確定申告が必要となる場合がございます。雑所得を発生させず配当金を円で受け取りたい場合、「円貨で受取り」がおすすめです。 - 外貨で受取り・・・米ドルのまま外貨預り金へ入金します。
→米ドルで受け取った配当金をそのまま米国株式の買付代金に充当したい場合、「外貨で受取り」がおすすめです。
出典:https://www.rakuten-sec.co.jp/web/info/info20230529-01.html
証券会社がすすめているなら安心──そう思って「外貨(ドル)で受け取り」を選ぶ方は多いはずです。

確かにこのQ&Aを見ると、「外貨(ドル)で受け取り」を選んだほうがお得に見えるね!

実はこのQ&A、肝心なことが書かれていないんだよ。
ドル受け取りに潜む本当の落とし穴
ドルを使うたびに為替差益が発生する
ドルで配当金を受け取ると、その時点の為替レートが「取得レート」として記録されます。その後、ドルを動かすたびに取得レートとの差額が計算され、為替差益として雑所得が発生します。
具体的には、以下のような操作が課税対象になります。
- ドルを円に両替したとき
- ドルで米国株を購入したとき
※ ドルを保有しているだけの状態では為替差益は発生しません(課税対象ではない)。
配当金として受け取ったドルをNISA口座で再投資する場合でも、株の利益とは別にドルを使ったことによる為替差益が発生するため、非課税にはならず申告が必要になります。
たとえば以下のようなケースでは、NISA口座であっても為替差益が雑所得として発生します。

「ドルのまま再投資しているだけなのに、なぜ税金が?」と思うかもしれませんが、ドルを使って米国株を購入する場合、その時点の為替レートで円換算して損益を計算するため、受け取り時と購入時のレート差が為替差益として雑所得になります。
証券会社は雑所得を計算してくれない
米国株の売買益や配当金は、特定口座(源泉徴収あり)で管理されているため、証券会社が自動的に税金を計算して源泉徴収してくれます。
ところが、ドル受け取りによる為替差益の雑所得は特定口座の管理対象外です。証券会社は雑所得の金額を計算してくれないため、取引履歴をもとに自分でレートを調べ、計算して申告する必要があります。
楽天証券のQ&Aが伝えていない事実
先ほど紹介した楽天証券のQ&Aをもう一度確認してみましょう。
外貨で受取り・・・米ドルで受け取った配当金をそのまま米国株式の買付代金に充当したい場合、「外貨で受取り」がおすすめです。
「買付代金に充当」をすすめているにもかかわらず、そのドルで米国株を購入した時点で為替差益が発生しうるという説明はどこにもありません。
一方で、同じ楽天証券の別のサポートページには次の記載があります。

米株購入時に、米ドルを消費して外国為替取引を行うため、その際の為替差益は雑所得となります。
つまり、Q&Aの案内通りに「ドルで受け取ってそのまま株を買う」という操作をすると、為替差益による雑所得が発生しうるのです。

えー証券会社のおすすめ通りにやったのに、確定申告が必要になっちゃうの~?

そうなんだよ。だから自分でちゃんと理解しておくことが大切なんだ。
確定申告が必要になるのはこんな人

正社員はたまたま申告不要になっているだけ
給与所得者(正社員)の場合、給与所得以外の所得が年間20万円以下であれば確定申告は不要です。
為替差益による雑所得が年間20万円を超えるケースはそれほど多くないため、「ドル受け取りでも問題なかった」という方がほとんどだと思います。しかし、これはたまたま20万円以下に収まっていただけであって、為替が大きく動いた年には超えてしまう可能性があります。
また、雑所得が20万円以下でも住民税の申告は別途必要です。確定申告をすれば住民税の申告は不要になりますが、確定申告をしない場合は市区町村への申告が必要になります。
確定申告の機会がある会社員は全員要注意

医療費控除やiDeCoって、米国株の配当金と関係あるの?

確定申告をする機会がある人は、為替差益も一緒に申告しないといけないんだよ。
以下に当てはまる方は、雑所得が20万円以下であっても確定申告に含める必要があります。
- 住宅ローン控除(1年目)を申請する方
- 年末調整でiDeCoや生命保険料控除の申告を忘れたので確定申告で申告する方
- 医療費控除を申請する予定がある方
- ふるさと納税でワンストップ特例を使わない方
- 副業で少しでも収入(雑所得・事業所得)がある方
- 外国税額控除(米国株の二重課税を取り戻したい方)を申請する方
確定申告をする際はすべての所得を申告する必要があります。「雑所得は20万円以下だから申告不要」というルールは、そもそも確定申告をしない人に限った話です。
個人事業主は1円から申告必須
20万円以下の申告不要ルールは給与所得者のみに適用されます。個人事業主は、為替差益が1円でも発生した場合、確定申告に含める必要があります。
副業やフリーランスとして活動している方は、ドル受け取りの為替差益がそのまま確定申告の手間を増やすことになります。
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手数料と手間を具体的に比較する
円受け取りの為替手数料は1ドルあたり25銭です。年間40万円(約2,700ドル)の配当金であれば、為替手数料は およそ675円 です。
一方、ドル受け取りを選んだ場合にかかる手間は以下の通りです。
- 取引のたびに発生する為替差益の金額を自分で計算する
- 確定申告書に雑所得として記載して申告する
- 個人事業主の場合は1円でも申告が必要になる
年間675円の手数料を節約するために、毎年確定申告の手間を背負うのは割に合いません。 僕自身、この経験をしてから迷わず円受け取りに変更しました。

手数料を惜しんで余計な手間が増えるより、675円を払ってスッキリさせるほうが断然お得だよ。
今すぐ円受け取りに変更しよう
楽天証券での変更手順
楽天証券での変更手順は以下の通りです。
STEP1:PCウェブにログイン後、右上「マイメニュー」をクリックし、「外国株式」を選択

STEP2:外国株式配当金受取方法の「変更」ボタンをクリック

STEP3:「円貨で受取り」を選択して確認・変更

営業日15:30までに変更すると、2営業日以降に受け取る配当金から新しい設定が適用されます。まだドル受け取りのままになっている方は、今すぐ変更しておきましょう。

設定を変えるだけでよかったんだね。さっそくやってみる!

米国株投資は長期で続けるものだから、税務の手間をできるだけ減らしておくことが大切だよ。
まとめ
米国株の配当金をドルで受け取ると、ドルを動かすたびに為替差益が雑所得として発生します。証券会社はこの雑所得を計算してくれないため、自分で申告しなければなりません。
- ドルで受け取った配当金を円に両替・米国株の購入に使うと為替差益が発生する
- 為替差益による雑所得は証券会社が計算してくれず、自分で確定申告が必要
- 正社員は年間20万円以下であれば申告不要だが、住民税の申請が必要
- 医療費控除・iDeCo・ふるさと納税・外国税額控除などで確定申告をする正社員は、雑所得が20万円以下でも申告に含める必要がある
- 個人事業主・フリーランスは1円から申告必須
配当金の受け取り方ひとつで、毎年の確定申告の手間が大きく変わります。為替手数料を惜しまず、円受け取りに設定しておくことをおすすめします。


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